私たちの多くは、少なくとも一度は魚の骨を誤って飲み込んでしまった経験があるのではないでしょうか。特に、細かい骨が関わる場合、問題が生じることは少ないです。しかし、大きな骨をうっかり飲み込んでしまった場合、体内にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか?
飲み込んだ魚の骨が消化管に刺さることはあるのか、またそれが引き起こす可能性のある健康上の問題は何なのでしょうか? 今回は、魚の骨を飲み込んでしまった際の安全性、リスク、そして適切な対処法について詳しく解説していきたいと思います。
誤って飲んだ魚の骨、どう対処すべき?
魚料理を楽しみながら食事をしていると、気づかぬうちに小さな魚の骨を飲み込んでしまうことがあります。誤って飲み込んだ魚の骨についての対処法を解説します。
のどに魚の骨が刺さった時
小さな骨であれば通常、特に問題はなく、気になることもほとんどないでしょう。 たとえ喉にわずかな違和感を感じたとしても、通常は消化器官を通過し、自然に消化されてしまいます。
魚の骨が引っかかることが多いのは、「口蓋垂(のどちんこ)」の周辺、特に「口蓋扁桃」という部分です。 しかし、多くの場合、骨が実際に刺さっているわけではなく、ただ単に喉の粘膜に触れているだけで、その違和感から骨が刺さっていると感じることがあります。
口蓋扁桃に骨が引っかかっている場合でも、多くは喉の粘膜に軽く触れている程度で、時間が経てば自然と取れることが多いです。 鏡を使って自分の喉をチェックし、骨が見えるかどうか確認してみてください。 魚の骨が喉にあると確認したら、まずは自分でできる対処法を試してみましょう。
例えば、何度か唾を飲み込んでみる、しっかりとうがいをする、ピンセットで取り除ける場所であれば試してみるなど、いくつかの方法があります。 ただし、昔よく家庭で推奨されたご飯を使った骨の抜き方は避ける方がいいです。この方法は、魚の骨がさらに深くのどに刺さるリスクがあるため、推奨されません。深く刺さった骨は医療機関でも取り除きにくくなることがあります。
また、骨が引っかかった部分から感染症が発生し、頸部膿瘍や縦隔炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクもあるため、無理な取り除き方は絶対に避けてください。
自分でピンセットなどを使って取り除こうとすると、口内を傷つける恐れがあるため、耳鼻咽喉科の専門医を受診する事をおすすめします。
魚の骨が刺さらないようにする工夫
小さい子供が食べる魚の骨は慎重に取り除く 魚の骨をほぐしたり、身を細かく切ったりして、小骨を見つけやすい状態にしてから取り除きましょう。また、購入時に骨が取り除かれている商品を選ぶのも良い方法です。
子供に魚の食べ方を教える 子供が箸を使えるようになったら、骨を取り除きながら食べる方法を、保護者が一緒に練習することが大切です。
しっかりと咀嚼して食べる しっかり噛むことで、口の中で硬い骨を感じることができ、飲み込む前に取り出すことが可能です。
魚の骨の消化に関する知識と対処法
魚の骨は、調理方法によっては非常に柔らかくなり、全体を安全に食べることができます。例えば、イワシの甘露煮やアジの南蛮漬けのように長時間煮込んだり、揚げたりすると、骨も柔らかくなり美味しく栄養豊富になります。
魚の骨にはカルシウム、マグネシウム、ビタミンD、鉄分、葉酸、アミノ酸など多くの栄養が含まれています。日本では一般的にカルシウムの摂取が不足しているため、骨ごと食べることでその不足を補うことが可能です。
特に、カルシウムは子供の成長や、骨粗しょう症が懸念される女性や高齢者にとって重要な栄養素です。小さな魚の骨は消化液で溶けやすいため、通常は問題なく消化されます。
しかし、大きくて太い骨が体内に入ると問題が発生することがあります。食道に骨が刺さり、腫れや出血、化膿を引き起こすことがあれば、重大な状況となる可能性があります。
もし飲み込んでから2~3日経っても体に異常を感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。喉に骨が刺さった場合には、耳鼻咽喉科、歯科、内科で対応を受けることができます。
特に子供が骨を飲み込んだ場合は、専門家による適切な処置が安心です。また、食事中は骨を丁寧に取り除き、食べ物をよく噛んで食べることが重要です。これにより、魚の骨によるトラブルを防ぐことができます。