そうめんは夏にぴったりの爽やかな麺料理です。一般的に束で売られており、中にはピンクや緑の麺も含まれていることがあります。これらカラフルなそうめんの存在理由、一体何なのでしょうか。これらのそうめんが存在する理由をご紹介します。
カラフルなそうめん、味は白いそうめんと異なるの?
カラフルなそうめんは見た目が華やかで楽しく、夏の食卓を彩ってくれます。しかし、「色が違えば味も変わってしまうのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
実はそうした心配は無用なのです。ピンクや緑のそうめんは、小麦粉から作った通常の白いそうめんと同じように、主原料は小麦粉を使用しています。唯一の違いは、着色に天然の色素を利用していることです。
ピンクのそうめんではドラゴンフルーツから抽出した赤紫色の色素、緑のそうめんではクロレラという微細な緑藻から取れる緑色の色素を使っているのです。これらの天然色素は味にはほとんど影響を与えません。
つまり、カラフルなそうめんは見た目は華やかでも、基本的な風味は通常の白いそうめんとほぼ変わりません。つるりとした食感と小麦の風味が楽しめるため、いつものように出汁やつゆと合わせて頂けば問題ありません。
見た目の鮮やかさと、なじみ深い味わいが両立できるのが、カラフルそうめんの大きな魅力なのです。夏の食卓に彩りを添えながら、懐かしい味も堪能できる、一石二鳥の麺料理と言えるでしょう。
カラフルなそうめんの色はどうやってつけられている?
カラフルなそうめんのユニークな色合いに、多くの人が興味と関心を抱くのは自然なことでしょう。一般的な白いそうめんとは見た目が大きく異なるため、「一体何で着色されているのか」「健康に悪影響はないのか」と不安に思う向きもあるかもしれません。
しかし、実はそうした心配は杞憂(きゆう)に過ぎないのです。カラフルなそうめんに使用されている色素の多くは、植物や食品から抽出された天然由来のものなのです。
例えば、ピンクのそうめんには梅や紅花から取れる赤い色素が使われています。黄色のそうめんは卵の色素、緑は抹茶や明日葉から採れる緑色の色素で彩色されているのです。これらはすべて食品に古くから使用されてきた安全な天然色素なのです。
加えて、これらの植物由来の色素は味にほとんど影響を与えないため、そうめん本来の小麦の風味を損なうことがありません。つまり、鮮やかな色合いは楽しめるものの、通常の白いそうめんとほぼ同じ味わいが期待できるというわけです。
このように、カラフルなそうめんは自然の恵みを活用しながら、伝統の味わいをしっかりと踏襲した、夏にぴったりの新しい麺料理なのです。華やかな見た目と安心の味が両立できる、魅力的な一品と言えるでしょう。
五色そうめんとは
夏の定番麺料理であるそうめんには、カラフルでユニークなバリエーションが存在します。それが、赤、緑、黄色など5色の麺が一つの束に混ざり合った「五色そうめん」です。
この五色そうめんは、実は愛媛県が発祥の地と言われています。かつて徳川吉宗公が京都の御所に詣でた際、祝いの席にふさわしい彩りを添えるものとして、五色の糸を編み込んだ伝統工芸品の下駄からヒントを得て考案されたそうです。華やかな5色の麺が朝廷にも献上され、大変喜ばれたと伝わっています。
五色そうめんは、通常の白いそうめんに植物性の天然色素を加えることで、鮮やかな色合いを生み出しています。食品添加物を一切使わない安心安全な手法で、麺自体の風味は変わらず、小麦本来の味を楽しむことができます。
見た目の彩り豊かさと、なじみ深い味わいが両立するこの五色そうめん。祝い事や記念日、ゲストを招いた時などの特別な機会には、食卓に取り入れるのがおすすめです。カラフルな彩りと歴史ある風情を、一口ごとに堪能できる珍しい麺料理なのです。
伝統の技から生まれた五色そうめんは、日本の夏を華やかに彩る味わい深い一品と言えるでしょう。
終わりに
カラフルなそうめんの起源は、実は古くから愛されてきた麺料理「ひやむぎ」にあると言われています。ひやむぎは小麦粉に草木の緑の色素を加えた麺で、見た目の彩りが人々を魅了してきました。そうめんにも同様の発想を取り入れ、ピンクや緑など鮮やかな色合いが表現されるようになったのです。
このようにカラフルなそうめんは、単に目新しさを追求したわけではなく、日本の伝統的な発想と美意識に根ざした料理なのです。色とりどりの麺が盛り付けられた姿は、夏らしい爽やかさと清涼感を醸し出します。食卓に彩りを添えるだけでなく、季節を感じさせる風情ある一品なのです。
もし機会があれば、実際にカラフルなそうめんを目にする機会があるかもしれません。その鮮やかな色合いに驚くかもしれませんし、些細なことで争いが生じるかもしれません。しかし、それは伝統の知恵と遊び心から生まれた、日本の夏を彩る味わい深い一品なのです。
同じ一つの器に、いろいろな色のそうめんが盛り付けられた時、きっと和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気が生まれることでしょう。色や地域の違いを越えて、カラフルなそうめんを皆で囲み、夏の幸せな時間を共有できる。そんな風情ある麺料理であって欲しいと思います。