干し柿を作る上で最も重要なのは、カビを防ぐことです。
カビ防止のためには、焼酎や熱湯の活用が有効ですが、それぞれの使用方法には差があります。
柿を干す前に熱湯での殺菌処理が基本ですが、焼酎はこの段階でも使えるだけでなく、万が一カビが生えた場合の対策としても活用できます。
本記事では、干し柿作りにおける焼酎と熱湯を使った消毒法について説明し、室内での製法を詳細に解説します。
熱湯と焼酎の適切な使い分けで、カビ無しの美味しい干し柿を作りましょう。
自宅で簡単!焼酎消毒を使った干し柿の製法
自宅で干し柿を作る際に便利なのが「焼酎」の使用です。焼酎に含まれるアルコールには、殺菌効果とカビの防止作用があります。
心配な方もご安心ください。干し柿を食べる頃にはアルコール成分は揮発しているので、子どもと一緒に楽しむことができます。
焼酎を使えば、天気を気にせず室内でも簡単に干し柿を作ることが可能です。この方法は屋外でも同様に適用できます。
干し柿作りに必要な材料は以下の5つです。
- 柿
- 焼酎
- 紐
- ボウル
- 洗濯用ハンガーまたは物干しスタンド
手順は以下の通りです。
- 柿の皮を剥く。
- 約70cmのタコ糸で柿の枝部分を結ぶ。
- ボウルに入れた焼酎で結んだ柿をくぐらせる。
- 洗濯ハンガーに柿を吊るす。
- 1週間後、外側が固くなったら、毎日柿を揉む。
- 好みの硬さになるまで1~3週間干す。
これらのステップについて詳しく説明します。
柿の皮剥き方法
柿のヘタ周辺の皮をまず剥き、その後下方向に皮を剥いていきます。ヘタの先にある枝部分をT字にして、後で結びやすくしておきます。この処理をすべての柿に施します。下の図のような感じです。
一般的には渋柿を使用するとより美味しい干し柿ができますが、甘柿でも問題ありません。
剥いた柿の皮は捨てずに、ジャムやお茶などに利用することもできます。
柿の枝部分への紐の結び方
今回の方法では、室内でハンガーに干し柿を吊るすため、70cmのタコ糸を使用します。
タコ糸は結びやすいですが、代わりにビニールひもでも構いません。両端に柿の枝のT字部分をしっかり結びます。
枝がない柿でも、みかんネットや食器乾燥ネットを使用すれば問題ありません。
焼酎を使った柿の消毒法
ボウルに入れた焼酎で結んだ柿をくぐらせることで、柿の殺菌とカビ防止が可能になります。焼酎で柿全体をしっかりと消毒してください。
霧吹きでスプレーする方法もありますが、ボウルで行う方が安全です。使用する焼酎はアルコール度数が高いホワイトリカーが最適です。後ほど、詳細を説明します。
紐に結んだ柿をハンガーに掛ける方法
柿を結んだ紐を、洗濯用のハンガーや物干し竿に掛けてください。柿が互いに接触しないように、十分な間隔を空けて吊るすことが大切です。そうすることで、風通しが良くなり、カビの発生を防ぎます。
良い日当たりの場所で干しましょう。日陰で干すと色が良くなるという意見もありますが、それよりもカビを防ぐことが優先されます。湿度が高いときは、除湿機や扇風機を使用するのも良い方法です。
室内で干し柿を作る場合でも、晴天の日を選んで干すことが理想的です。
干し柿をやさしく揉む
干し始めてから約1週間後、柿の表面が乾燥してきたら、柿を優しく揉むことが大切です。最初は硬さを感じますが、徐々に柔らかくなります。揉む際は、爪で柿の表面を傷つけないよう注意してください。
揉む頻度には、毎日揉むか、5~7日後に再び揉むかの二通りがあります。こだわりを持って毎日揉む方が良い結果を得られますが、手間をかけたくない場合は後者の方法でも構いません。
揉むことによって干し柿は均一に乾燥し、糖分が表面に出てきて、より甘く美味しくなります。完成までの目安は約2~3週間です。
干し柿の見た目での食べごろの判断
干し柿の食べ頃を見た目で判断するのは少し難しいです。干し始めて1週間もすると、食べ頃に見えることが多いです。市販の干し柿は通常、鮮やかなオレンジ色をしていますが、これは硫黄燻蒸処理の結果です。
家庭でこの処理を行うのは困難で、自家製の干し柿はより黒っぽい色合いになります。市販の干し柿を食べごろの基準とすると、まだ十分に熟成されていない可能性があります。そのため、干し柿は見た目よりも期間と重さで食べごろを判断する方が適切です。
理想的な干し柿の干す期間
干し柿は一般的に、約2~3週間が食べごろとされています。指で触れた感じで、厚さが約1センチ程度になると、中身がトロトロでおいしい干し柿になります。硬めの干し柿が好みの場合は、3週間から1ヶ月程度干すと良いでしょう。
有名な干し柿製造業者は、干す前の重さの約35%になるまで干すのが一般的です。30%以下になると硬くなりすぎるので、干す前に重さを量り、2週間後に再度重さを計測して調整するのが良いでしょう。
干し柿作りに適した焼酎の種類とアルコール度数
干し柿作りにおすすめの焼酎は、アルコール度数が約35度のものです。殺菌効果が期待できる度数は36度以上ですが、市販の焼酎であれば、35度のホワイトリカーが適しています。一般的な居酒屋で提供される芋焼酎のようなものは、アルコール度数が25%と低く、カビ防止には不向きです。
ホワイトリカーは果実酒作りにもよく使われ、果実の香りを生かしつつ殺菌効果も得られるためです。通常の焼酎では、芋・麦・米の香りが干し柿の風味を邪魔してしまうため、ホワイトリカーが推奨されます。
ただし、芋焼酎で干し柿を作る実験も面白いかもしれません。芋の香りと干し柿が組み合わさって、ユニークな風味を生み出す可能性があります。この場合は、特にカビ防止のための風通しや日当たりに注意してください。
焼酎を使用する理由|干し柿の渋抜きと殺菌
干し柿の製造に焼酎がよく使われるのは、その渋抜き効果と殺菌作用のためです。実は、渋柿はアルコールや炭酸ガスを使って渋を抜くことが可能です。この方法で使われるアルコールの適切な度数はおよそ38%ですが、一般家庭ではこの強度のアルコールは手に入りにくいものです。そのため、渋抜きにはホワイトリカーのような約35度のアルコールが適しています。
ただし、焼酎を使った渋抜きは、アルコールを吹きかけた後に密閉する必要があるため、焼酎に柿をくぐらせるだけでは完全な渋抜き効果は得られません。しかし、アルコールを使用することで甘みが増す効果が期待できるため、干し柿に焼酎を使う方法が広く採用されています。
干し柿にカビが生えた場合の対処法
もし干し柿にカビが生えた場合は、まずはキッチンペーパーに焼酎を含ませて、優しく拭き取りましょう。表面の黒カビならば、この方法で簡単に除去できます。黒カビが取り除けたら、干し柿は安心して引き続き干せます。
ただし、白カビが生えている場合は、その干し柿は廃棄するのが賢明です。白カビは深くまで広がっている可能性が高く、表面だけを清掃しても内部までカビが広がっている恐れがあります。干し柿に見られる「白い粉」と白カビを混同しないように気をつけてください。
この白い粉は熟成の証で、白カビの場合は毛のような外見が特徴です。
室内での干し柿作りの方法|熱湯消毒法
焼酎を使用しなくても、熱湯や塩水を利用すれば、干し柿は室内でカビなく製造できます。熱湯には殺菌効果がありますが、柿の硬さに応じて処理時間の調整が必要です。熱湯の使用は感覚を掴むまで少し難しいかもしれませんが、始める方には焼酎の方が扱いやすいかもしれません。熱湯を使用した干し柿の製造方法をご紹介します。
必要なものは、柿、紐、鍋、水、(塩)、洗濯用ハンガーや物干しスタンドの5つです。手順は焼酎を使用する方法と基本的に同じですが、ここでは熱湯での処理について説明します。
熱湯または塩水での干し柿消毒方法
柿の皮を剥き、枝を紐で結んだら、鍋でお湯を沸かします。2リットルのお湯に対して大さじ1の塩を加えると、殺菌効果が高まり、柿の甘さが引き出されるため推奨されます。柿を5秒ほど熱湯にくぐらせて消毒しましょう。紐を持ったまま行うか、柿を直接お湯に入れてお玉で取り出しても構いません。
ただし、柿を一度に多く入れるとお湯の温度が下がり、十分な殺菌効果が得られないため、一つずつ処理することが推奨されます。通常サイズの柿なら10秒、小さめの柿なら5秒で十分です。30秒以上茹でると柿の表面が柔らかくなりすぎるので注意してください。ビニール紐を使用する場合は、熱湯で溶けないように気をつけてください。
干し柿に白い粉を出現させるコツ
干し柿が上手くできたら、「白い粉」を吹かせることに挑戦してみましょう。この白い粉は干し柿の甘さの証で、柿から染み出た糖分が表面に現れることで、粉砂糖のような見た目の美しい干し柿になります。