スーパーマーケットでアボカドを選ぶのはちょっとした冒険です。中身がどうなっているかは切ってみないとわかりません。
理想は美しい均一の黄緑色。でも、黒い点や筋が見えるとがっかりしますよね。
それでは、アボカドに見られるこれらの黒い部分の意味や、新鮮なアボカドの選び方と保存方法について見ていきましょう。
アボカドに見られる黒ずみの正体
切ったアボカドに時折見られる黒い斑点や筋。これらは食べても大丈夫なのか気になるところです。 この黒ずみは「維管束」という組織が酸化し、黒く変色することが原因です。維管束は種に栄養を送る役割を持ち、空気に触れると酸化しやすいのです。
黒ずみの原因
アボカドの黒い斑点や筋は、追熟中に空気に触れることで起こる酸化が主な原因です。アボカドには、ポリフェノールという植物性の抗酸化物質が豊富に含まれています。このポリフェノールが酵素と反応すると、メラニンという黒色の色素を生成するのです。
このメラニンは、人間の肌の色素形成にも関係する物質です。つまり、アボカドの黒ずみは私たちの肌に存在する同じ現象なのです。しかし、メラニン自体は無害な物質なので、食べても健康上の懸念はありません。
このようにアボカドが変色する現象は、「褐変」と呼ばれる一般的な反応です。リンゴやバナナ、アーモンドなど、他の多くの野菜や果物でも同様に起こります。新鮮だった食材が時間の経過とともに変色するのは、このためです。
しかし、茶色く変色したからといって、アボカドの栄養価は失われません。変色した部分は見た目が悪いだけで、健康に害はありません。むしろ追熟が進んでおり、風味が増しているサインとも言えるでしょう。
強い変色が気になる場合は、使用直前まで半分に切らず、使う分だけを切り取ることで空気に触れる面積を最小限に抑えることができます。また、切った面に食用ラップをきっちりとはるのも変色を防ぐ対策として有効です。
腐ったアボカドの見分け方
では、食べても安全なアボカドと腐ったアボカドはどのように見分ければいいのでしょうか?
全体的な黒ずみ
果肉が全体的に黒ずんでいる場合は、腐敗が進んでいる可能性が高いです。また、アボカドはヘタの部分から熟成が始まるので、ヘタに白いカビが生えているかどうかもチェックしてください。
異臭がする場合、特に酸っぱい臭いや刺激的な臭いがするときは、果肉が腐っている可能性があります。これらの兆候が見られたら、そのアボカドは食べないほうが良いでしょう。
アボカドの過熟のサイン
アボカドが過熟してしまうと、通常よりも柔らかく、ぷるぷるとした感触になります。これは果実が熟しすぎている可能性があることを示しています。また、アボカドは本来果汁が多くないので、果汁が漏れ出ている場合は腐っている可能性が高いです。
新鮮なアボカドの見極め方
皮の見た目が重要です。アボカドは成熟と共に緑から黒へと変化しますが、完全に黒くなる前の濃い茶色が理想的です。新鮮なアボカドは、皮がしっかりとしていて光沢と張りがあります。凹みや傷が少なく、形が均等なものを選ぶと良いでしょう。
ヘタの確認方法
アボカドはヘタの部分から熟成が始まるため、ヘタを軽く押してみて弾力があるか確認します。ヘタがぐらついたり、皮と果肉の間に隙間があるものは避けましょう。
果肉の適切な弾力
果肉を軽く押してみて、適度な弾力があるかを確認してください。指の跡が残るほど柔らかい場合は過熟している可能性があります。
アボカドの正しい保存方法
アボカドは追熟が進むと劣化が早まってしまいます。そこで、アボカドの熟度に合わせた適切な保存方法を身につけることが大切になります。
まず未熟なアボカドは常温で保存しましょう。このように低温環境に置かずに、室温に近い状態を保つことで自然な追熟が促進されます。アボカドの皮が柔らかくなり、実が緑から紫がかった色になったら食べごろの目安です。
一方で、十分に熟したアボカドは追熟を避けるため、冷蔵庫で保存するのが理想的です。低温環境に置くことで、追熟による過熟を遅らせることができます。ただし冷蔵中は乾燥に注意が必要で、新聞紙やビニール袋を活用するとよりよく保たれます。
さらに長期保存を希望する場合は、冷凍保存がおすすめです。その際は、アボカドの実をレモン汁をかけて一口大に切り分けてからラップで包むと、酸化を防ぎ風味を守ることができます。冷凍された状態なら半年ほど日持ちします。
アボカドの鮮度を保つには熟度を見極め、常温・冷蔵・冷凍とそれぞれの保存環境を使い分けることが重要なポイントです。
カットしたアボカドの取り扱い
カットしたアボカドは空気に触れると酸化しやすく、すぐに変色することがあります。これを防ぐためには、レモン汁をかけてラップでしっかりと密封し、冷蔵庫で保存することが効果的です。消費はなるべく早めに行いましょう。
まとめ
アボカドに見られる黒い筋や斑点は通常無害ですが、果肉が全体的に黒ずんでいたり、不快な臭いがする場合は避けるべきです。購入時には皮の色や果肉の弾力を確認し、適切な保存方法を実践することで、アボカドを楽しむことができます。