暑い季節には、涼しげな食べ物やスムーズに飲み込める料理が恋しくなります。そんな中でも、そうめんはそのすっきりとした食感で夏の定番として親しまれています。
そうめんと一緒に、にゅうめんという料理も存在しますが、これらの料理の違いについてご存じでしょうか?
ここでは、そうめんとにゅうめんの特徴とその違いについて詳しくご紹介します。
そうめんの特徴
そうめんは、小麦粉、塩、水を適量混ぜ合わせて細く伸ばし、太陽の光で丁寧に乾燥させた麺です。その製法から、そうめんは細く繊細な食感が特徴的で、直径1.3mm未満の極細麺が一般的に用いられています。
この細い麺の起源は、奈良時代に中国から伝来した「索餅(さくべい)」にあるとされています。索餅は小麦粉に加え、当時は米粉も原料として使用されていたようです。米粉を使うことで、のどごしの良い滑らかな食感が生まれていたと考えられています。
その後、鎌倉時代に中国から手延べ製法が伝わると、この伝統的な製麺技術によってそうめんは進化を遂げました。職人が一本一本丁寧に延ばすことで、今日のそうめんの風味と食感が生まれたのです。
調理時にはまず乾燥そうめんをお湯で適度に茹で上げ、そのまま食べるとパリパリした食感になってしまうため、次に冷水で急冷することが重要なポイントとなります。この工程によって、もちもちとした食感が生まれるのです。
最後に、冷たい出汁につけて食すのが一般的な食し方で、こうして喉越しの良い麺が楽しめます。この風習は夏の大切な風物詩として受け継がれてきました。薬味としては、生姜やワサビをそうめんにかけることが多く、風味をさらに引き立てる役割があります。
にゅうめんの特徴
にゅうめんは、温かいつゆで楽しむそうめんをベースとした郷土料理です。
そうめんは本来、夏の食材として知られていますが、にゅうめんはこれを応用し、温かいつゆで味わう料理として生まれました。通常は醤油ベースの和風だしを用いて、そうめんを温かいうちに頂きます。寒い季節にぴったりの体を温める逸品で、特に冬場に人気が高まります。
にゅうめんのルーツは地方によって様々で、つゆの味付けにもバリエーションがあるのが特徴です。例えば関西地方では、醤油だしに加えて味噌ベースのつゆを使うスタイルも見られます。
九州方面に行けば、地元の味噌や鰹節を使った濃厚な出汁が楽しめるかもしれません。このように、にゅうめんは家庭や地域によってそれぞれ異なる味わいを堪能できる、奥深い郷土料理なのです。
そうめんの冷たい食し方からアレンジを加えた温かいにゅうめんは、日本人の繊細な味覚と創意工夫の賜物であり、寒い季節に欠かせない家庭の味として愛されてきました。
宮城県白石市の名物、温麺(うーめん)をご存じですか?
そうめんやにゅうめん以外にも、宮城県白石市には”温麺(うーめん)”という特産の麺料理があります。うーめんは通常のそうめん製造時に使われる油を一切使わずに作られるのが大きな特徴です。この独自の製法は、江戸時代に白石市の麺職人・大畑屋鈴木浅右衛門によって確立されました。
伝えられるところによると、浅右衛門は旅する僧侶から油を使わずに麺を作る秘伝の方法を学んだのがきっかけだったそうです。当時の僧侶は健康的な食生活を心がけており、油を控えめにする製麺法を実践していたのだとか。浅右衛門はこの方法に着目し、くり返し試行錯誤を重ねた末に、さっぱりとした食感ながら麺の旨味を存分に堪能できるうーめんの製法を編み出したのです。
うーめんの評判は上々で、仙台藩からも重んじられるようになり、贈答品としても利用されるようになりました。現代に至っても、うーめんは白石市を代表する名物料理として地元民から愛されています。最近では宮城県内の多くの飲食店にもメニューが加わり、観光客からも高い人気を博しています。
うーめんは基本的に温かいつゆで供されますが、夏場には冷たいで楽しむスタイルもあります。つゆの味付けも醤油ベースのものから味噌ベースのものまで多彩で、家庭やお店によってそれぞれ異なる個性的な味を堪能できます。
さっぱりとした食感とコシのある麺が特徴のうーめんは、油を使わない健康的な製法ゆえにさらりとした喉越しが自慢です。江戸時代から守り継がれてきたこの郷土料理は、今なお宮城の食文化を彩る重要な一品として親しまれています。
うーめんでギネス世界記録に挑戦!
2006年、うーめんを使った特別なイベントが開催され、流し素麺のギネス世界記録更新に挑戦しました。このイベントで、1802メートルの長さで「流しうーめん」として新たな記録を樹立し、注目の名物となりました。
おわりに
そうめんとにゅうめんの主な違いは、冷たいか温かいかで食べるかの違いです。同じ麺を使いながら、季節に応じてさまざまな食べ方を楽しむことができるのは魅力的です。
宮城県ではうーめんも特産品として知られていますので、訪れた際には是非その味を体験してみてください。