春が訪れると、わらびが楽しめる山菜の季節が到来します。美味しく料理するために欠かせないのが、重曹を用いたわらびの下処理です。しかし、この工程でわらびが思いの外、柔らかくなってしまう事態が発生することもありますね。そんな時、どうしたら適切な硬さを保つことができるでしょうか?ここでは、重曹を使ったわらびの処理法と、柔らかすぎた場合の対処法を解説します。
わらびが過度に柔らかくなる原因は?
重曹を使ったわらびの下処理で、わらびが意図していたよりも柔らかくなってしまうことがあります。これは一体なぜでしょうか?
まるでわらびが重曹によって溶け出してしまったかのような状態になることもあります。
それでは、この現象の主な理由を探ってみましょう。
重曹の使いすぎが引き起こす問題
わらびが重曹処理で柔らかすぎる主な原因は、使用する重曹の量が適量を超えてしまうことです。その背後には、重曹の働きが関与しています。
重曹はアルカリ性を持ち、それによってわらびを処理すると、わらびの細胞構造が壊れてしまいます。
わらびに含まれる不快な成分の主体は、水に溶けやすいシュウ酸です。細胞構造が壊れることで、これらの成分が水に溶け出しやすくなります。
しかし、重曹を適量以上に使用すると、強いアルカリ性が細胞を過度に破壊し、結果的に柔らかすぎるわらびが生成されてしまいます。
重曹水での茹で処理法
重曹を溶かしたお湯でわらびを茹でる方法は一般的です。
この方法は基本的には正しいですが、茹で時間が長過ぎるとわらびが過度に柔らかくなることがあります。
これは、加熱によってわらびが柔らかくなると同時に、アルカリ性による細胞破壊効果が加わるためです。
わらびを茹でる際には、重曹水にわらびを入れた後、弱火で3~4分間茹でるのが理想的です。
適度な硬さになったらすぐに取り出し、冷水で冷やし、その後何度か水を替えてください。
茹でる方法は失敗しやすいため、他の方法も考えてみることをお勧めします。
重曹を用いたわらび処理のコツ
重曹を使ったわらびの処理で、適度な硬さを保つためのポイントと、適切な重曹の使用量について見てみましょう。
適切な重曹の使用量とは?
わらびの下処理で適切な重曹の使用量は、1リットルの水に対して小さじ1杯となります。
この量が重要です。使いすぎるとわらびが溶け、使いすぎないと不快な成分が残ってしまいます。正確な量を計るためには、計量スプーンを活用しましょう。
わらびのあく抜きを失敗させない方法
①まず、わらびがすっぽり入る大きさの鍋に、必要な水を沸かし始めます。水を加える際は、量をきちんと計りましょう。これは後で加える重曹の量を正確にするためです。
②水が沸騰したら火を止め、準備した水の量に応じて適切な量の重曹を加えます。適正な割合は、1リットルの水に対して小さじ1杯未満となります。
③その後、ゆっくりとわらびをお湯に入れていきます。
④わらびが均一に処理されるよう、全てがお湯にしっかり浸るようにします。
⑤このまま約6時間、つまり半日程度、お湯が自然に冷えるのを待ちます。
⑥最終的に、わらびを取り出し、十分に水で洗い流してあく抜きの作業を終えます。
・成功の秘訣
わらびがお湯に完全に浸かっていることを確認することが大切です。もし水面から出てしまうと、処理が均一に行われない可能性があります。わらびが浮かんでしまう場合は、お皿などの重しを使って押さえつけると良いでしょう。また、鍋に蓋をせずに放置することで、わらびが過度に柔らかくなるのを防ぎます。
別の方法として、わらびをバットに並べ、その上から重曹を振りかけた後に熱湯をかける方法もあります。この場合も、わらびが完全に水に浸かるようにしてください。
柔らかすぎたわらびの活用法
柔らかくなりすぎてしまったわらびは、そのままではサラダや煮物に使うのが難しいです。でも、上手に活用する方法があります。以下に2つのアイデアを紹介します。
わらびのたたき
柔らかくなりすぎたわらびを細かく切り、さらに叩いてトロトロ状態にします。このトロトロわらびに、わさび醤油やめんつゆ、味噌とみりんなどお好みの調味料を混ぜ合わせて、ご飯の上にかけて楽しむことができます。味噌を加える場合は、叩きながら混ぜるとより一層美味しくなります。
お好み焼きの具材として
トロトロにしたわらびは、お好み焼きの具材としても活用できます。通常、お好み焼きにふわっとした食感を加えるために山芋が使われますが、その代わりにこのわらびを使うことができます。わらびを加えても独特の風味は消え、いつも通りのお好み焼きを楽しめます。
おわりに
わらびのあく抜きには伝統的に灰が用いられることもありますが、重曹を使用する方が手軽で簡単です。ただし、重曹を使う場合は、そのアルカリ性が灰に比べて強いため注意が必要です。適切な量の重曹を使用し、わらびを熱湯に入れるタイミングに気をつければ、手軽に成功させることができます。重曹の量は1リットルのお湯に対して小さじ1杯が目安です。このポイントを守り、しっかりとすすぎを行えば、春の味覚を存分に楽しむことができます。