自宅で干し芋を作ってみたら、思いの外、硬くなってしまったことはありませんか?なぜこんなにも固くなるのか疑問に思うことでしょう。本来の目指していたのは、もっと柔らかくて、しっとりとした干し芋だったはずなのに、という失望感があるでしょう。
果たして、家庭で作る干し芋が必ずしも硬くなる運命にあるのでしょうか?どのようにすれば、硬くならずに柔らかい干し芋を作ることができるのでしょうか?
柔らかい干し芋は、やはり美味しいものです。ここでは、その柔らかい干し芋を作るための方法を詳しく説明します。
自宅で作る柔らかい干し芋のコツ
自宅で干し芋を作ってみたけれど、食べてみると想像以上に硬かった。まるで噛むのも難しいほどだった。これは本当にさつまいもなのか、それともビーフジャーキーなのかと錯覚してしまいます。
このような結果に終わることも少なくありません。硬い干し芋は食べるのにも一苦労で、特に歯の弱い高齢者や子供たちには適していません。また、硬さではなく、柔らかくてしっとりした食感が干し芋の魅力です。硬い干し芋は、美味しさが半減してしまいます。
ただ単にさつまいもを蒸して干すだけで、なぜこんなにも硬くなるのでしょうか?一体何が原因で、家庭で作ると硬くなりがちなのでしょうか?
干し芋が硬くなる理由について調査したところ、主に3つの原因があることがわかりました。
干し芋が硬くなる理由
手作り干し芋が硬くなる主な理由は、最終的にさつまいもに残る水分量に関係しています。水分が少なくなると、それだけ干し芋も硬くなります。
最初の理由は、干し方にあります。干し過ぎると当然硬くなります。天候に左右されつつも、毎日裏返しながら5日程度で適度に乾燥させることができます。レシピには「一週間干す」「10日間干す」と記載されていることがありますが、これは絶対的な規則ではありません。
晴れが続くと、一週間も干すと硬くなりがちです。適度な乾燥を見極めることが大切で、自分で「これくらいで良い」と判断するタイミングで干し終えることが推奨されます。
毎日の天候とさつまいもの様子を見ながら、適切なタイミングで干し作業を終えることが重要です。
しかし、干し芋が硬くなるのは干し過ぎだけが理由ではありません。実は、干す前の準備段階にも大きく影響しています。
重要なポイントは、「さつまいもの蒸し方」と「さつまいもの選び」です。
これらについて、一つずつ解説していきます。
柔らかい干し芋を作る蒸し方のコツ
干し芋を作る際には、さつまいもを蒸したり茹でたりするのが一番の基本ですが、特に柔らかい干し芋を作るためのキーポイントは蒸し方にあります。
さつまいもを柔らかく仕上げるコツは、蒸し器でじっくりと長時間蒸すことです。このとき、弱火でゆっくりと蒸し上げることが大切です。
時間をかけて蒸すことには時間がかかりますが、この方法で蒸気を充分にさつまいもに当てることで、1時間ほどでじっくりと蒸し上げます。
蒸し加減の目安は、通常の蒸し芋よりもさらに柔らかく、皮が軽く触るだけで剥けるくらいまでです。
この工程でさつまいもにしっかりと水分を含ませることが、柔らかさを保つ秘訣です。
さらに、低温で時間をかけて加熱することで、さつまいも内部のデンプンが酵素の作用で糖に変わり、甘みを増します。この糖分は水分を保持する役割もあるため、デンプン質が硬くなるのを防ぎます。
長時間蒸したさつまいもは、水分をより保持しやすくなり、甘みもアップするため、保水性が向上します。
蒸し上がったさつまいもが特に柔らかい場合、切るときは繊維の方向に沿って縦に切ると崩れにくくなります。皮を剥く際は、火傷に注意し、軍手を使うと安全です。
電子レンジを使った干し芋作りの落とし穴
電子レンジでさつまいもを蒸してから干し芋を作る方法もありますが、柔らかい干し芋を望むならば、この方法はおすすめできません。
電子レンジを使って蒸した場合、結果として硬い干し芋になることが多いです。これは、電子レンジがさつまいもの内部の水分に直接作用し、急速に加熱するため、水分が蒸発しやすくなるからです。
加熱している間だけでなく、冷却している間にも水分は蒸発し続け、結果としてさつまいもの表面が硬くなってしまいます。
この方法で作られた干し芋は、乾燥が進み、最終的には非常に硬い状態になってしまいます。
電子レンジを使用する方法は便利で時間が節約できる点で魅力的ですが、柔らかく美味しい干し芋を作るためには、蒸し器を使って長時間かけて蒸す方法がお勧めです。
干し芋作りに適したさつまいもの選び方
干し芋を作る上で、さつまいもの種類が仕上がりの硬さに大きく影響します。
市場で一般的に見かける干し芋には、「玉豊」という品種がよく使われています。このさつまいもは、白い肉質で水分が豊富、蒸すととても柔らかくなる特徴があります。
家で干し芋を作るなら、玉豊のような水分を多く含むしっとりタイプのさつまいもを選ぶと、硬くなりにくい干し芋ができます。
家庭向けに売られているしっとり系のさつまいもには、「紅はるか」「シルクスイート」「安納芋」「紅まさり」などがあります。
しかし、「玉豊」は干し芋専用の品種で、一般の市場ではあまり見かけません。これは、蒸しても特に味がしないためかもしれません。
私の経験では、祖母が家庭菜園で「玉豊」を育てていましたが、蒸しても味がほぼ感じられず、ただのデンプンのかたまりのようでした。味としてはあまり魅力を感じませんでした。
それでも、干し芋に加工することで、「玉豊」はその価値を発揮します。
一方、ホクホクした食感のさつまいもを使うと、干し芋が硬くなりやすいです。このカテゴリーには「紅あずま」「鳴門金時」「たまあかり」「紅さつま」「紅こがね」などがあります。
多くの場合、ホクホク系のさつまいもが手に入りやすいでしょう。このタイプで柔らかい干し芋を作るには、しっかりと蒸して十分な水分を含ませ、適切に乾燥させることが重要です。
先に紹介した方法でさつまいもを十分に柔らかく蒸し上げれば、干し芋が硬くなるのを大きく防ぐことができます。
干し芋作りのまとめ
干し芋を柔らかく美味しく仕上げるためには、蒸し方とさつまいもの種類の選び方が非常に重要です。
さらに、干し芋の最終的な仕上がりに大きく関わるのが乾燥の具合です。特にホクホクタイプのさつまいもを使用する際は、この点に気をつける必要があります。
毎日の乾燥具合をチェックしながら、適切な時に乾燥を止めることで、柔らかく美味しい干し芋を楽しむことができます。