豚角煮の作り方|焼く?煮る?どちらがおすすめ?

食べ物の豆知識

先日、豚バラ肉をお得に手に入れた際、ふと「角煮を作ってみよう」と思い立ちました。

あの居酒屋で人気の、とろとろでジューシーなあの料理です。

早速、買ってきた豚肉を切り、煮汁を用意した圧力鍋に入れようとしたところ、我が家の肉料理の達人である夫が「待って!それじゃダメだよ」と言います。

「角煮を作る前に、肉を焼くべきだよ」と夫。私は「え、角煮って焼く必要があるの?」と驚きました。

そこで皆さんに質問です。豚の角煮を作る際、皆さんは煮る前に焼きますか?それともそのまま煮ますか?

この記事では、豚の角煮を作る際の焼く・焼かないの違いについて解説します。どちらの方法にもそれぞれのメリットとデメリットがありますから、どちらが自分に合っているかを見極めてみましょう。結論から言うと、どちらの方法も正解なんです。

角煮に似た他の料理

そもそも「角煮」とはどういう料理か、確認してみましょう。

まずは、角煮と似た他の料理について見ていきます。

チャーシューについて

中国では「叉焼」と呼ばれ、日本では「焼き豚」とも言われるチャーシュー。これらはどちらもチャーシューを指します。

角煮とチャーシューの大きな違いは、使用される肉の部位と調理方法にあります。

肉の部位による違い

  • 角煮 主に豚バラ肉を使用
  • チャーシュー(叉焼・焼き豚) 一般的にはロース肉やモモ肉が使われる

バラ肉を使ったチャーシューもあり、私がよく行くラーメン屋では、チャーシュー麺とバラチャーシュー麺の2種類があります。

調理方法の違い

角煮はカットした肉を煮ますが、チャーシューは肉の塊をそのまま縛り、煮た後に切り分けるのが通例です。スーパーで見ることができる、糸で縛られた肉の塊は、チャーシュー用のものです。

煮豚の特徴

チャーシューと同じ部位の肉(ロース肉やモモ肉)を使い、焼かずに煮る料理が「煮豚」です。つまり、焼くとチャーシュー、煮ると煮豚になるというわけです。

ラフテーとは

「羅火腿」と表記されるラフテーは、沖縄の伝統料理です。皮付きの三枚肉やヒサガー(皮付きのモモ肉)を使用し、泡盛、黒砂糖、醤油で甘辛く煮込むのが特徴です。これは、いわば沖縄版の豚の角煮と言えるでしょう。

三枚肉とは豚バラ肉のことで、皮、赤身、脂身が三層になっています。沖縄では、特に皮付きのものを指すことが多いです。

トンポーロウの魅力に迫る

「東坡肉」とも呼ばれるトンポーロウは、その漢字を見ても読みづらいですよね(笑)。角煮やラフテー、そして長崎の郷土料理「東坡煮」に通じるこの料理は、ラフテーと同じく皮付きの三枚肉を使い、八角や五香粉といった中華風の香辛料で煮込むのが特徴です。

一方で、「角煮」とは基本的に豚バラ肉(三枚肉)をじっくり煮込んで柔らかくした料理です。しかし、肉を煮る前に焼くべきかどうかについては、まだはっきりとした答えがないようです。これからもその秘密を探っていきましょう。

 豚角煮を焼くメリット

豚角煮を焼くことで、外はカリッと中はジューシーに仕上がり、香ばしさが食欲を刺激するメリットがありますがその他の効用も見てみましょう。

旨味を閉じ込めるコツ

  • 肉の表面を焼く 肉を外側から焼くことで繊維が収縮し、肉汁が内部に閉じ込められます。これにより、旨味が逃げ出すのを防げます。
  • 片栗粉を活用 片栗粉はデンプンを多く含み、保水効果があります。肉に片栗粉をまぶすことで、さらに肉汁の流出を防ぎ、調味料がよく絡みます。

小麦粉は片栗粉と似ていますが、デンプンの量が少なく保水効果が低いです。それでも、小麦粉を使うと肉の表面がカリッとします。使用する際は、焼く直前にまぶすと良いでしょう。そうしないと、肉がべたつくことがあります。

煮崩れを防ぐ方法

肉の表面に焼き目をつけることで、肉の形を保ちやすくなります。熱で繊維が収縮し、密になるため、煮崩れしにくいです。

さらに、肉を焼くことで脂が溶け出します。豚バラ肉は元々脂が多いので、焼くことで余分な脂を落とし、煮る際の形の崩れを防ぎます。

余計な脂を取り除く方法

角煮は美味しいけれど、胃もたれが心配な方もいるでしょう。そんな時は肉を焼いてみましょう。余分な脂が落ちることで、胃もたれしにくくなります。

焼くときのポイントとして、フライパンに少量の油を敷くことが推奨されています。油は同士で溶け合う性質を持つため、フライパンで温めることにより、肉から出た脂がフライパンの油に引き寄せられ、簡単に取り除けます。

焼かずに調理する豚角煮の魅力

焼かずに作る豚角煮は、肉のうま味を逃さず、柔らかくジューシーな食感が楽しめる方法です。

より柔らかく仕上げるコツ

以前にも触れたように、肉は加熱すると繊維が収縮し、表面が硬くなることがあります。焼かずに直接煮ることで、この硬化を防ぎ、より柔らかな豚角煮が完成します。

調理時間を効率化

焼く工程を省くことで、調理の全体時間が短縮されます。角煮のポイントはじっくり煮込むことですので、忙しいときは焼き工程をカットして、煮込みにより多くの時間を割くと良いでしょう。

焼く際の注意点

  • 肉表面のコーティング 焼く場合は、片栗粉を使って肉の表面をコーティングすることが効果的です。これにより、肉の旨味が逃げるのを防げます。
  • 焼き過ぎには注意 肉を過度に硬くしないように注意が必要です。焼き過ぎると、柔らかい角煮にはなりません。肉表面の色が変わる程度で十分です。

下茹でをおすすめする理由

焼く派でも焼かない派でも、肉を下茹ですることが推奨されます。これにより、アクや臭み、余分な脂を取り除くことができます。三枚肉の美味しい脂肪部分は残るため、美味しさを保ちつつ、煮崩れも防げます。

下茹では肉を水から茹で始めると柔らかく仕上がりますし、軽く炙ることで旨味が閉じ込められます。

味付けの最適なタイミング

下茹でが終わった後が、肉に味付けをする最適なタイミングです。調味料を早すぎる段階で加えると、肉が硬くなったり、味が染み込みにくくなることがあります。これは大根の煮物など他の料理にも共通する原理です。下茹での時間の目安は、300gの肉に対して1時間程度。肉がたっぷりの水に浸かるようにしましょう。

下茹でした水の処理

下茹でに使用した水は、肉のアクや臭み、脂が溶け出しているため、使い終わったら必ず捨てましょう。この水を煮込みに使い回すと、下茹での効果が無駄になってしまいます。

豚の角煮:焼くか焼かないかのまとめ

「角煮を焼くか焼かないか」という問題について多くを考察してきましたが、結論は「好みによる」ということです。

丁寧に手間をかけた角煮ほど美味しいものですが、時間や料理の好みに応じて選択することが大切です。私は普段、焼かない方法を好んでいますが、忙しいときはより簡単な方法を選ぶこともあります。

また、レストランで角煮を注文する際には、どのような調理方法で作られているかを尋ねるのも一興です。店ごとのこだわりが見えてくるかもしれません。

最後に、圧力鍋を使うと繊維が壊れやすいという意見もありますが、時短のために私は圧力鍋を使うことを選んでいます。

皆さんも、自分のスタイルに合った角煮作りを楽しんでくださいね。

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