日本料理に不可欠なわさびは、特に生の状態での刺激的な辛さが特徴です。ただし、その強烈な辛さが苦手な人も少なくありません。そこで、わさびを加熱すると辛さが和らぐという話がよくされています。
本記事では、加熱がわさびにどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。
加熱するとわさびの辛さはどう変わる?
「わさびを加熱すると辛さが減る」とよく言われますが、その真偽はどうなのでしょうか?
一説によると、加熱によりわさびの辛み成分が減少し、代わりに独特の風味がより際立つとされています。しかし、実際に加熱することで辛さが本当に減るのかには、意見が分かれます。
この記事では、加熱したわさびがどのように変わるのか、具体的に説明していきます。
加熱でわさびはどう変わる?まろやかな風味へ
実際には、加熱することでわさびの辛さは減少することがわかっています。
この変化の背景には、「アリルからし油」という成分が関わっています。この成分は、わさびやからしに含まれる主要な辛み成分で、わさびをすりおろすなどの物理的な処理によって活性化し、辛さを引き出します。
しかし、このアリルからし油は一定の温度を超えると分解され、辛みが和らぎます。つまり、適切な加熱によってわさびの辛み成分が減少し、その結果、よりまろやかな味わいに変化するのです。
加熱しても変わらないわさびの香り
わさびはその強い辛みだけでなく、独特の香りや風味でも知られています。辛さが苦手でも、わさび特有の香りを楽しむために使われることもあります。気になるのは、加熱によって辛さが減る場合、香りも同時に失われるかどうかです。
実は、わさびの香りは加熱しても変わりません。わさびの香りの主成分であるアリルイソチオシアネートは、加熱しても失われることはありません。一部では、加熱によってこの成分が蒸発すると考える人もいますが、実際にはわさびに含まれる他の香り成分もあり、そのため加熱しても香りは保たれます。
加熱によるわさびの辛さの変化
わさびの主な辛み成分であるアリルからし油は、加熱すると蒸発しやすく、そのため加熱によって辛さが減ることがあります。しかし、加熱時間によって辛さがどの程度残るかは異なります。例えば、電子レンジで加熱すると、加熱が不十分だと辛さが残ることがあります。
焼き肉店などでわさびを肉に塗って加熱する料理では、適度な加熱が推奨されます。フライパンでの調理の場合、中心温度が70℃を超えないように注意し、風味を保つために加熱の加減が重要です。
加熱とわさびの風味
加熱するとわさびの辛みが減ることはよく知られていますが、風味についてはどうでしょうか?実は、わさびの風味もアリルイソチオシアネートに大きく依存しています。そのため、加熱しすぎると風味が減少する可能性があります。
電子レンジでの加熱や、フライパンでの低温調理では、風味は比較的保たれる傾向にあります。ただし、フライパンで加熱する際は、70℃を超えると風味が失われやすくなるので注意が必要です。
適切な加熱で風味を保持
わさびの辛みを減らすためにはしっかり加熱することが有効ですが、風味を保つためには加熱を控えめにすることが望ましいです。適度な加熱であれば、アリルイソチオシアネートの蒸発を避けられます。
わさびを料理に塗ったり、漬け込む方法も風味を保つのに役立ちますが、加減が難しいため、風味を保ちながらわさびの特性を生かすためには、加熱の度合いに注意が必要です。