「とらや」と「虎屋」と聞くと、日本の和菓子業界におけるどの店舗を想像しますか？
羊羹で知られる「とらや」、虎焼で人気の「虎屋」、それともういろで評価されている「虎屋」？
似たような名前で混同されがちですが、実はこれらは全くの別企業で、扱う商品も全く異なります。
ここでは、全国的に知られるこれらの「とらや」と「虎屋」各店の違いについて詳しく解説します。
とらや、虎屋本舗、虎屋ういろとは
日本の和菓子店には、虎屋、亀屋、鶴屋など伝統的な屋号を冠する店舗が数多く存在します。
これらの名前が似ているために同じ系列だと誤解されることもありますが、実際には関係がないことも少なくありません。
羊羹で有名な「とらや」は、株式会社虎屋が運営し、創業は室町時代後期です。
対照的に、虎焼きで有名な「虎屋」は株式会社虎屋本舗が手掛け、その起源は1620年の江戸時代にさかのぼります。
ういろで知られる「虎屋」は、大正12年に設立された虎屋ういろ株式会社によって運営されています。
このように、創業年や扱う商品に大きな違いがあるため、それぞれが独自の商品ラインを持つ完全に別の会社です。
とらやの主要店舗とその魅力
「とらや」は、羊羹で知られる高級和菓子店として、長い伝統と高い格式を持っています。室町時代後期に京都で創業して以来、皇室を含む多くの著名な顧客から愛され続けています。
明治時代に東京へ遷都する際に、京都に根を残しつつ東京にも新たに拠点を構えました。現在の本社は東京の赤坂に位置しており、赤坂にある本店をはじめ、直営店や「虎屋菓寮・喫茶」が東京、御殿場、京都、パリにも展開されています。また、全国の百貨店や空港内にも多くの販売店があります。
直営店と販売店では扱う商品が異なり、虎屋菓寮・喫茶では、あんみつやお汁粉などの和スイーツを楽しむことができます。これらの和菓子は、繊細な味わいと美しい見た目が魅力で、贈答品としても非常に人気があります。
とらやの代表的な商品である「羊羹」は、質の高い小豆、寒天、黒砂糖を使い、シンプルながらも素材の良さが引き立つ逸品です。特に「夜の梅」や「小型羊羹の詰め合わせ」は、羊羹ファンには欠かせない人気の商品です。
また、とらやは季節やイベントごとに特別な商品を販売することでも知られており、例えば2022年の干支「寅」にちなんだ羊羹は、そのカラフルで華やかなデザインで新年の挨拶に最適です。
広島に根ざす「虎屋本舗」の歴史と本店の位置
「虎焼」で名高い「虎屋本舗」は、広島県福山市に本社を置く歴史ある和菓子店です。江戸時代初期には兵庫で廻船問屋と染物屋として事業を展開していましたが、福山藩主から土地を拝領し、福山で和菓子店を開業しました。
福山市曙町に位置する本店では、予約をすれば上生菓子の作り方を学べる体験も提供しています。直営店は福山市、府中市、岡山県井原市にあり、東京の銀座にある「ひろしまブランドショップTAU」では一部の商品も取り扱っています。
虎屋本舗の特徴商品「虎焼」
虎屋本舗の人気商品「虎焼」は、虎の模様が施されたどら焼きで、特徴的なビジュアルが印象的です。北海道産の小豆を使用した甘さ控えめのつぶあんが詰まっており、そのしっとりとした生地は軽やかな食感が楽しめます。
さらに、虎屋本舗では独特なスイーツの取り扱いでも知られています。見た目が本物の「てまり寿司」や「たこ焼き」「お好み焼き」「ざるそば」に似たスイーツがあり、すべてスイーツ素材で作られています。これらの商品は見た目のインパクトと味わいで注目を集めており、通販でも購入が可能ですので、特別な日のサプライズや話題作りにぴったりです。
専門店としての歩みを続ける虎屋ういろ
虎屋ういろは、大正12年に創業し、昭和13年にはういろ専門店としてリブランドしました。本社は三重県伊勢市にあります。
こちらの「生ういろ」は選りすぐりの原材料を使用し、伝統的な手法で製造されています。自然な甘みともちもちとした食感が特長で、名古屋のういろよりも好評を得ています。防腐剤を使用していないため、保存期間が短いのが難点です。彼らのういろは定番から季節限定まで約35種類あり、季節によって異なる味わいが楽しめます。
虎屋ういろの店舗は三重、愛知、岐阜に展開しており、東京では東武百貨店池袋に出店しています。全国展開はしていませんが、全国の百貨店で定期的に催事が開催されています。公式ホームページからはネット通販も利用できます。
まとめ
「とらや」と「虎屋」という名前が似ている和菓子店は、創業の背景や提供する商品、店舗の位置が異なるため、具体的な店名が指定されていない場合、誤って別の店舗の商品を購入する可能性があります。これを踏まえ、購入時には店舗の情報を正確に把握し、適切な選択をすることが重要です。
